LINEが日本で人気の理由
日本で人気のライン
サービス開始から10年。日本国内のメッセージアプリで断トツのシェアを誇っているLINE。今ではメッセージや通話に加え、ラインニュースやラインショッピングなど様々なサービスを手がけている。しかし、LINEは世界的に見るとユーザー数は少ない。世界ではWhatsAppというメッセージサービスが主流なのである。なぜ、LINEは日本で人気を得ることができたのか。今回はその謎に迫る。
LINEが日本で人気の理由
理由は3つある。1つ目は、閉鎖的なメッセージアプリということだ。実は他のメッセージアプリでは、簡単に知り合いのアカウントを追加できるシステムがある。例えば、先ほど紹介したWhatsAppは、携帯電話の連絡先をそのままWhatAppの連絡先として登録できるのだ。これは非常に便利なシステムである。そのためWhatsAppは、世界のメッセージアプリで1位のシェアを取れたのだ。しかし日本人にとって、この機能はウケが悪かった。なぜなら、日本人は内気な性格の人が多いからだ。
よく考えると確かに我々日本人は、連絡先に登録した=LINEでも会話したいという発想にはならない。LINEなどのSNSはどちらかというと、親しい人と連絡をするものという考え方が日本人にあり、それ以外の人と連絡を取るときはメールというように使い分けているのである。そのため一見、便利なように見えるWhatsAppは日本人の感覚に合わなかったため、日本ではLINEが主流となったのである。これが1つ目の理由だ。
2つ目は、ラインスタンプの存在である。ラインスタンプとは簡単に言えば、絵文字の拡大版のようなものである。絵文字よりも感情を大いに表現することができ、しかも人気キャラクターで感情を表すことができる。このシステムが日本人にウケたのだ。なぜなら、日本には元来、文章で感情を表に出すという習慣があまりなかったからだ。その典型的な例が手紙である。手紙は拝啓で始まり、挨拶文などの形式がしっかり存在している。そのため、日本人にとって文章を書くということ=お堅いことを書くというイメージが知らない間にすり込まれていたのである。そこでそのような文章=お堅いというイメージを払拭したのがラインスタンプだ。このスタンプは日本人が伝えることが苦手な文章で感情表現するということを大いに手伝ってくれる。そして、その感情表現を表すスタンプには、有名アニメキャラクターが採用されているため、文章がお堅くならずに伝えることができるのだ。このシステムが日本人にウケたため、LINEは日本人にとって他には変えられないメッセージアプリとなることで、日本人のシェアを大きく掴むことができたのである。
オリジナルキャラクター『ちびかいじゅう ハルモクリ』のラインスタンプ第一弾!
— k_yokochin (@yokochin_39) July 26, 2021
『ハルモクリ』『harumokuri』で検索してね! pic.twitter.com/VmtZSV7jkd
3つ目は、巧みなマーケティング戦略だ。LINEはメッセージアプリとしてのCMをしていない。これは、日本人の口コミを利用して浸透させたからだ。そして口コミで広がったところで、子ども向けのテレビ番組である「LINE TOWN」を開始した。このように、LINEが良いという噂が広まったところで、あえて子ども番組に手を付けたのだ。これは、「LINEは良いと口コミで聞くけども安全なの?」といった疑問に対し、「LINE=子ども番組も手がけている」というイメージを付けることで、「LINEは安心・安全」と認識させたのだ。つまり、単に広告を打つだけではなく、このように安心・安全をアピールすることで日本人の心を掴んだのである。そのため、日本ではメッセージアプリとしてLINEが選ばれるようになったのだ。
LINEのこれから
以上のように、LINEが日本で人気の理由を見てきた。その理由は、閉鎖的なメッセージアプリということ、ラインスタンプの存在、巧みなマーケティング戦略の3つだった。この3つを総合的に見ると、LINEは単に利便性を追求したのではなく、人々が大切にしている「心情」に寄り添ったことで人気を得ていた。現代は利便性ばかりが注目されているが、人々が商品を手に取る最後の一押しは今も変わらず「心情」なのである。商品展開をする際は、そのことを忘れずに手がけるようにしていきたい。