顔隠しがSNSで人気の理由
顔隠しがSNS上で流行中
近年、ティーンを中心にSNS上で顔を隠した写真を投稿することが流行している。この現象はとくに女性に多いことが特徴だ。
SNSといえば、自ら撮った写真を加工して美しく見せることが主流だった。しかし、なぜかそれとは真逆の現象が起きている。それは一体なぜなのか。今回は、SNSで顔隠しが流行している真相を探っていく。
顔隠しがSNSで人気の理由
理由は3つある。1つ目は、加工が増えすぎたことで、加工がバレやすくなったからということだ。SNSが流行り始めた2012年頃から、それに合わせて加工アプリも流行し始めた。この頃は、B612やSNOWといったものが有名だった。とくに、SNOWに関しては元の顔の原形を大きく変えて動物モチーフの可愛らしい顔にできることで話題を呼んだ。しかし、これが顔隠しの引き金を引いた。それは、顔写真をあからさまに加工できるSNOWが普及したことで「SNSの顔写真=加工された顔写真」というイメージが染みついてしまったのだ。そのためSNSで顔写真を投稿しても、「どうせ加工して綺麗にしているんでしょ」といった感想が持たれやすくなってしまった。そこで、「それならいっそのこと顔を消してしまえば、そのように思われることはない」という発想に転じ、究極の加工である「顔を隠す」といった方向にシフトしたのだ。これが顔隠しが流行した1つの要因と考えられる。
2つ目は、顔以外の周りのものを見て欲しいということだ。近年はSNS、特にInstagramの影響で写真を映えさせるということに関心を抱く若者が多い。そのためInstagramなどに写真を載せるときには、写真が上手くキレイに取れるように工夫するのである。そして、キレイに撮れた写真を色んな人に見てほしい。しかし、そこに映り込む自分の顔には注目されたくない。あくまで自分がキレイに撮ることができた周りの風景を見せたいのだ。そこで生まれたのが顔隠し。これをすることによって注目を自分の顔ではなく、周りの風景に視点を移すことができる。そのため、こうした写真をキレイに見せたい写真文化が顔隠しを生みだしたのだ。
3つ目は、日本人の根本にはシャイが隠れているからということだ。昔から「扇子で顔を隠す」という言葉があるとおり、日本人はシャイな人が多い。この言葉の通り日本人は、むやみやたら顔を出さずに、ミステリアスな雰囲気を漂わせることを美学としてきた。そして、この精神は気づかないところで、我々の心の中で深く受け継がれていたのであろう。恐らく日本人は、アプリで顔写真を加工していくうちに、加工するよりも顔を隠した方が魅力的に見えることを思い出したのではないだろうか。その結果が、SNSでの顔隠しブームに繋がったのではないかと考えられる。
顔隠しのこれから
以上のように、SNSで顔隠しが人気の理由について見てきた。その理由は、加工が増えすぎたことで、加工がバレやすくなったからということ、顔以外の周りのものを見て欲しいということ、日本人の根本にはシャイが隠れているということの3つが関係していた。この3つを総合して考えると、この顔隠しブームは、日本人のシャイな心理が大きく影響していることがわかった。とくに、今はコロナ禍でマスクが手放せない社会である。そのため、マスクで顔を覆っている時間は増えた。このことにより、ますます顔を隠してSNSに写真を載せる人々が増えていきそうだ。