若い世代で何故シェアが流行るのか
買わない若者たち
近年の若者はものを買わない。わざわざ購入せずにシェアするのだ。このシェアが話題となったのは、おそらくテラハウスやルームシェアだろう。これらは大きな一軒家を借りて各々が1人用の部屋に住み、リビングなどを共有する仕組みだ。この「シェアする」といった動きは、他にも広がりを見せている。例えば、服や靴、ブランド品、車に至るまで近年は何でもシェアができるようになってきた。その結果、若者の間では、ものをシェアすることが当たり前となってきる。なぜ若者にシェアが人気なのか。今回はその真相に迫る。
若者にシェアが人気の理由
理由は3つある。1つ目は、若者の貧困化だ。これについては当ブログで何度も取り上げているが、2020年の若者の賃金は1997年よりも1000円ほど下がっている。さらに、消費税などの税金の増加により若者の手取りは1997年に比べ大幅に減少。その結果、家や車、ファッションに至るまでも購入することが難しくなり、シェアという形で、それらを補うようになった。そのため、ものは購入するのではなく、シェアするという考えが主流となったのだ。
2つ目は、SNSによりシェアすることが身近になったということだ。とくに、TwitterやFacebook、LINEのタイムラインなどでは、相手が発信した情報に良いと思えば、それを他の人に共有できるリツイート機能がある。また、面白い動画やネットの情報もURLのリンクをコピーして相手に送れば、それらをすぐに共有できる。そのため、「何か良いものがあったら知り合いに共有する」という文化が若者たちの中で根付いているのだ。従って、車や服にも「シェアする」という考え方が受け入れやすかったと考えられる。
3つ目は、臆病な若者が増えたということだ。近年の若者は冒険せず、皆が安心安全に使っていているものを使いたいという考えの人が増加した。これは失敗したくない若者が増えた影響だと考えられる。なぜ失敗したくない若者が増えたのか。それは、今の若者はバブル期を知らないからである。今の20代が物心をつく頃に日本はすでにバブルが崩壊。そのため彼らは、親が苦労して確実な道を選んで歩んでいる姿しか知らないのだ。そのことから、冒険=博打という印象が若者の中に少なからずあるのではないだろうか。また、こうした情報を間接的に親から教育されているという可能性もある。「良い大学に行って就職する。」「手に職をつける。」このようなことを幼い頃から言い続けられた結果、冒険せずに安全な道を選択することが正しいという思考になり、皆が良いと思っているものを簡単に取り入れることができるシェア文化に傾倒していったのだ。
今後も拡大するシェア文化
以上のように、若い世代で何故シェアが流行るのか見てきた。その理由は、若者の貧困化、SNSによりシェアすることが身近になったこと、臆病な若者が増えたことの3つだった。確かに、冒険せず安全な道を選ぶ方が失敗するリスクは少ない。仲間内で安全なものをシェアすれば安心感は高くなるだろう。しかしそこに、挑戦することの喜びや、成長はあるのだろうか。もちろん安全な道を選ぶことが悪いことではない。ただ、あえて皆と違うことを選ぶという新たな挑戦をすることで、得られる喜びや挫折を経験することも悪くないと思われる。こうした考え方も是非シェアして、今後の参考にしてもらいたい。