写ルンですが若者に人気の理由
写ルンですの人気
現在、高校生を中心とした10代から20代の若者に人気の「写ルンです」。写真技術や加工技術が発達した現代にも関わらず、使い捨てカメラに注目が集まっている。そんな「写ルンです」も、デジタルカメラの普及による影響を受けて、生産コストが高くなったためか、2019年頃から30%の値上げをしている。しかし、それでもなお、若者の「写ルンです」の人気は変わらない。それどころか前より人気が上昇しているとも言える程である。なぜ今、「写ルンです」が若者に人気なのか。今回はその真相に迫る。
写ルンですが人気の理由
理由は1つ。「写ルンです」は真実を写すからということだ。「写ルンです」はフィルムカメラ。そのため、デジタルカメラのように1度撮影すれば、その後修正するということはできない。しかし、それが逆に若者にウケたのである。
現代は、なんでも修正できるどころか、本来よりも美しく見せることができる加工技術もある。そのため、「デジタルで撮った写真」=「幻想の世界」かもしれないという認識が若者の中に強くあるのだ。
わかりやすい例で言えば、飲食店のメニュー表である。飲食店で料理を注文するときに、我々は必ず料理の写真を見て選ぶ癖がある。そして、その写真を見て、最終的にどの料理を注文するか決定する。もちろん当たり前だが1番美味しそうな料理を我々は選ぶ。しかし、いざ料理が運ばれてくると、「思っていたのと違う」「なんか写真の量と比べて少ないな」と感じたことがあると思う。これが「デジタルで撮った写真」=「幻想」という現象だ。
現代の若者は物心がついたときからカメラはデジタルカメラしか知らないという人が多い。そのため、上記で述べたような現象を我々より感じた経験を小さい頃からたくさん経験してきているのだ。その結果、デジタルカメラで撮影した写真に対して、このような感情を強く持っているのである。そこで、その悩みを解決したのが「写ルンです」を初めとするフィルムカメラだ。このカメラでは一切、修正も加工もできない。写真の漢字が示している通り、真実を写すことしかできないのである。そのため、作られた笑顔や美しさは通用しない。その場にいて本当に楽しいか、本当に美しいものか、そういった真実をフィルムカメラは正直に映すのである。とくに最近の若者は本音を言わない。そういったことから、いかに本当の心、自然体を見抜けるかが彼らにとって重要になってきているのである。そういった相手や場の真実を写すものとして「写ルンです」の人気が出たと考えられる。
カメラの今後
以上みてきたように、若者に「写ルンです」が人気なのは真実を正しく映すからからということだった。「写真」という漢字は「真実を写す」と書く。「真実を映す」と書かないのは、カメラは本来、「転写するもの」という認識だったからではないだろうか。そのことを我々大人たちは、いつの間にか忘れてしまい、真実から目をそらすために小手先の技術で景色をごまかすようになった。そしてそれが正しいと勘違いしている。そのことに若者たちは気づいた結果、フィルムカメラに行き着いたのだ。
何が正しいか、何が間違っているのか、それをそのまま写すフィルムカメラ。私たちの心もフィルムカメラのような純粋さを取り戻すことが必要だと痛感した。