ワークマンは女性になぜ人気なのか
女性人気が広がるワークマン
近年、アパレル業界に新たな旋風を巻き起こす企業が誕生した。それはワークマンだ。ワークマンと言えば、現場作業の職人たちを支えてきた老舗ブランドである。そのワークマンが女性服に進出したのだ。そして、その売れ行きは絶好調。最近はその人気がテレビで取り上げられるほどである。なぜ、ワークマンは女性に人気が出たのか。今回はその真相に迫る。
ワークマンが女性に人気の理由
理由は3つある。1つ目は、ソロキャンプの流行で安いアウトドア用品を求める女性が増加したことだ。近年はコロナ禍の影響により、ソロキャンプが女性の間でも話題となっている。その影響を受けてワークマンを知った人が多いのだ。そもそもワークマンは、ソロキャンプ流行の前からアウトドア用品に力を入れ始めていた。そのことが、女性客の間でもテレビCMなどを通して認知されていたため、ワークマンに立ち寄る女性が増えたと考えられる。これが1つ目の理由だ。
2つ目は、若年層で服にこだわりを持つ女性が減ったことだ。昔は、高価なブランド服を購入する女性が多かった。しかし近年、20代の平均給与は1997年のときと比べ減少している。そのため、若年層の女性が高価な服を求めることは少なくなった。そして、その需要に対して、UNIQLO、H&Mなどのファストファッションブランドが入り込み、若年層の顧客を鷲掴みにしたのである。その結果、若年層の女性客をターゲットとした高級アパレル企業は淘汰されていってしまったのである。また、そんな状況に追い打ちをかけたのが新型コロナウイルスだ。この感染症が蔓延して以来、緊急事態宣言が発令され、外に出かける機会が減少した。そのため、服にこだわりを持つ若年層の女性客は減り、さらにUNIQLOなどのファストファッションブランドに流れて行ってしまい、その恩恵をワークマンも受け取ることができたのである。
3つ目は、作業服=耐久性のある製品というイメージの定着である。ワークマンは現場職人が使用する用品を揃えているお店として、多くの人に認識されていた。現場職人が使う服と言えば、作業用のため、「頑丈」というイメージが自動的につく。もちろんそのイメージ通り、ワークマンの服は頑丈だ。ここで注目してもらいたいのが、近年のファストファッションブランドの特徴である。ファストファッションブランドは、値段が安い。しかし、生地の耐久性はない。筆者もこうしたファストファッションブランドの服を着たことがあるが、1,2回洗濯しただけで襟元が伸びきってしまって使い物にならなくなったことがある。そこで、ワークマンは、従来の「安くて、最先端」という2つの軸をコンセプトにしていたファストファッションブランドに対して、「安くて、最先端で、さらに頑丈」という3つの軸で立ち向かったのだ。そうすることで、これまで高級アパレル企業が勝てなかったファストファッションブランドに対抗できたのである。恐らく、この「安くて、最先端で、さらに頑丈」という組み合わせがワークマンがヒットした最大の要素だろう。
ワークマンの女性人気
以上のように、なぜワークマンが女性に人気なのかを見てきた。その理由は、ソロキャンプの流行による需要、服にこだわりを持つ人の減少、「安くて、最先端で、さらに頑丈」という3つが関係していることがわかった。これは、これまでのファストファッション業界に新たな革命を起こすかもしれない。消費者は見かけのパフォーマンスでは騙されなくなってきている。今後は、品質にも力を入れた手軽でオシャレな服が求められる新時代に突入しそうだ。