タケモトピアノが買取CMを続ける理由
タケモトピアノのCM
「ピアノ売ってちょうだ〜い」から始まることで有名なタケモトピアノのCM。テレビを見ていたら1度は目にしたことがあるだろう。恐らくほとんどの人が知っているはずである。それもそのはず、このタケモトピアノのCMは、1997年から変わらず放送されているのである。なぜ、毎回同じCMを放送し続けているのか。今回はその謎に迫る。
タケモトピアノが同じCMを続ける理由
理由は2つある。1つ目は、ニッチな企業のため、CMを全国区でたくさん打てば確実にシェア取ることができるということだ。タケモトピアノは、ピアノ買取業者というニッチ産業であるので、競合する企業は少ない。そのため、全国区でCMをたくさん放送すれば、それだけで「ピアノを買い取ってもらうときはタケモトピアノ」という思考をテレビの視聴者に強く植え付けることができる。その結果、ピアノ買取業者というニッチな産業の中でシェアを独占することができるのだ。そしてタケモトピアノは、この状況を継続させて、他の競合企業が入り込めないようにするために、あえて昔から視聴者に馴染みのある同じCMを続けて放送しているのだ。これが1つ目の理由である。
2つ目は、バブル期のピアノを海外輸出することで潤沢な利潤を得ることができるからである。
バブル期は経済成長により国民がたくさん資金を消費する時代だ。そうなれば、身の回りの色々な部分にお金をかける。そのため、もちろん子どもの教育にも資金を潤沢に使う。理由は不明だが、資金が潤沢にある家庭ほど、子どもにピアノを習わせる傾向にある。実は不思議なことに、この現象は世界共通なのである。そこに目をつけたのがタケモトピアノ。バブル期に購入して今は眠っている日本のピアノを安く買い取り、丁寧に修理をしたうえで、経済成長中の中国などに高値で売る。この差額で儲けているのだ。そのため、潤沢な資金があることから、あれだけたくさんのCMを続けることができるのである。これが2つ目の理由だ。
タケモトピアノのこれから
以上のように、タケモトピアノが買取CMを続ける理由を見てきた。その理由は、ニッチな企業のため、CMを全国区でたくさん打てば確実にシェア取ることができるということ、バブル期のピアノを海外輸出することで潤沢な利潤を得ることができるということの2つだった。
これらを総合して考えると、1つ気になることがある。それは日本のピアノを買い取って海外に売ることは良いが、それを続けると、日本にピアノが無くなってしまい、商売が成り立たなくなるのではないだろうか。つまり、ピアノが枯渇してしまう恐れがある。しかし、この問題に関しては、海外に売ったピアノをまた買い取って、インドネシアなどの別の新興国に輸出してしまえば問題ないのである。非常に良くできた仕組みだ。この仕組みがある限り、タケモトピアノのバブルは終わることがないだろう。彼らにとってピアノは、枯れることのない石油のようなものなのかもしれない。