ひこにゃんが人気の理由
彦根市のゆるキャラひこにゃん
ゆるキャラブームの先駆者ひこにゃん。ひこにゃんは滋賀県彦根市の彦根城の築城400年記念イベントイメージキャラクターとして2007年に誕生した。当初はイベント期間限定キャラの予定だった。しかし、ひこにゃんの人気が全国に広がったため、イベント終了後も彦根市のピーアールキャラクターとして活動していくことになった。なぜ、イベント限定キャラクターだったひこにゃんは、そこまで人気が出たのだろうか。今回は、その謎に迫る。
ひこにゃんが人気の理由
理由は3つある。1つ目は、著作権の使用料を無料にしたことだ。本来、こうしたキャラクターを使ってグッズ展開をするときには使用料という料金が発生する。しかし、ひこにゃんはキャラクターグッズ作成をするときに使用料が一切いらない。そのため普段、商品開発をしていても、キャラクターの使用料がネックでグッズ展開をためらっていた中小企業がグッズ製作に参加。その結果、たくさんのひこにゃんグッズが作られることになり、知名度アップに繋がったのである。また、使用料がかからないため、たくさんの企業がひこにゃんグッズ製作に参加できるため、自然とグッズ展開の競争が行われるようになる。競争が起きると、もちろん品質の良い商品が産まれやすくなる。このように、ひこにゃんは自ら身を切ることで、自身の知名度を高めたのである。これが1つ目の理由だ。
コロナ落ち着いたら、また鐘の丸もイベント行きたいなぁー(♡ω♡ ) ~♪ひこにゃんグッズでいろんな地域を盛り上げたい♡#ご当地キャラの日 #ひこにゃん pic.twitter.com/3SespodTUr
— てんちょーの部屋414✧ (@ten_chou11_414) May 11, 2021
2つ目は、ひこにゃんに細かいキャラ設定をつけなかったことである。本来、キャラクターには家族構成や世界観などをつくり、どのようなキャラクターか明確にして売り出すことが多い。しかし、ひこにゃんはその逆をつき、お城の帽子を被っているという以外にキャラクター設定を行わなかった。これが良かったのである。なぜなら、キャラクター設定をしないことでファンは、ひこにゃんに対して様々な想像を膨らませることができる。しかもそれだけではない。キャラクター設定を行わないということは、企業にとっても自由に商品展開ができるというメリットがある。つまり、ひこにゃんは人々のそれぞれのイメージで成り立つことによって、「その人だけのひこにゃん」を提供できるようにしたのである。こうしたキャラクターは当時あまりなかったため、このような緩さがヒットの理由だろう。
モチさんとスイカ🍉✨超〜気に入ってるみたい…💕#ひこにゃん #彦根城 pic.twitter.com/rexkX9g6xS
— 『彦根城内 鐘の丸売店』【公式】 (@kanenomaru_413h) July 4, 2021
3つ目は、ひこにゃんが無表情のキャラクターであることだ。ひこにゃんの口元や目元をよく見ると笑顔ではない。無表情なのである。実はキャラクターでは、無表情である方が人気が出やすい傾向がある。それの良い例がサンリオのハローキティだ。ハローキティも実は無表情をしている。これは表情を敢えてつけないことで、キャラクターを見た人に、どのような表情をしているのか想像を委ねているのである。このようにすることで、自分の気持ちに合わせてキャラクターが表情を変えてくれているような気持ちになり、そのキャラクターに愛着がわくようになる。つまり、自分の気持ちをわかってくれているかのように思えてくるのである。これが、人々を引きつける最大の理由だ。
マニア向け〜🥳💓#ひこにゃん pic.twitter.com/L3H7FHOAnT
— 『彦根城内 鐘の丸売店』【公式】 (@kanenomaru_413h) June 29, 2021
ひこにゃんの今後
以上のように、ひこにゃんが人気の理由を見てきた。その理由は、著作権の使用料を無料にしたこと、細かいキャラ設定をつけなかったこと、無表情のキャラクターであることの3つだった。このように分析していくと、ひこにゃんは今現在のキャラクターの在り方を確立させた立役者であることがよくわかる。
現在は下火となっている「ゆるキャラ」業界。ひこにゃんに再びキャラクター革命を巻き起こしてもらいたい。