ラジオの人気が無くならない理由はなにか。
ラジオの人気
近年、メディア媒体の増加が止まらない。一昔前は、本や新聞、雑誌、テレビ、ラジオぐらいだった。しかしスマートフォンが普及し、インターネットやSNSが頭角を現してきた。これらの影響は凄まじく、本や新聞、雑誌、テレビは過去のメディア媒体として追い込まれようとしている。そんな中、ラジオの人気は未だ健在だ。なぜ、ラジオだけが生き残ろうとしているのか。今回は、その真相に迫る。
ラジオが人気の理由
理由は3つある。1つ目は、リスナーとの近さである。ラジオは、ただ一方通行の発信ではなく、頻繁にリスナーの意見やコメントを受け入れる。そのため、発信者とリスナーの関係性が深くなるのである。そして、たびたびコメントや意見が求められるため、リスナーは聞き手という立場だけでなく、盛り上げ役として番組に参加できる。つまり、ラジオは発信者と聞き手が一緒になって番組を作っているのである。そのため両者に一体感が生まれ、他のメディア媒体にはないものを作り上げた。その結果、他に似たメディア媒体が無く、競合することがないため、ラジオは生き残れたのである。
2つ目は、自由なトークを展開できるということである。ラジオは、テレビに比べると番組1つの時間が長い。例えば、テレビ番組は約1時間ほどだ。しかし、ラジオでは1番組が3~4時間も放送することが珍しくない。このように、テレビよりもたくさんの時間を使うことができるため、本来テレビではカットされてしまうような芸能人の緩いトークもラジオでは採用される。この緩いトークが芸能人のファンからすれば、テレビで見ることができない芸能人の素の一面を見ることができる貴重なものなのだ。そのため、こうした一定数のリスナーがラジオの固定ファンとして存在するため、ラジオは今でも根強い人気を持つことができている。これが、2つ目の理由である。
3つ目は、ラジオは空間を作るということである。どういうことか。まずは、一般的なラジオの仕組みを考える。ラジオは、出演者の語りと背後に流れるBGM、そして意見を寄せるリスナーの3つが合わさって構成されている。ここで、気づくことはないだろうか。実はこの仕組みは、カフェとそっくりなのだ。カフェも友人やマスターといった人による語りと、店内はオシャレなBGM、そしてそれを楽しむ自分というリスナー。このようにラジオの仕組みを分解してみると、カフェと似ていることがわかる。つまり、ラジオは番組をリスナーに届けているのではなくて、誰でも自由に話せる「気軽な雰囲気」という場所を提供しているのである。そのため、リスナーは行きつけのカフェに通うような感覚でラジオを聞いているのである。
このような仕組みは、TwitterなどのSNSには存在しなかった。しかし近年は、YouTubeやInstagram、LINEでライブ配信ができるようになった。これらのライブ機能は、携帯画面に出演者が映り、その横や下にリスナーのコメントが出る。そして、時間は気にせず好きなだけ放送でき、背後にはBGMが流れる。実は、これらSNSもラジオの秘訣を導入し始めている。これは、ラジオ要素を取り入れることによって、SNS各社が、テレビのように衰退してしまうことを防ぎたいという目的があるからだ。このように、ラジオの仕組みはSNSが発展した現代でも一目置かれるほどの素晴らしい作りのメディアなのである。そのため、ラジオの人気は無くならないのである。
ラジオのこれから
以上のようにラジオがなぜ人気が無くならないかについて見てきた。その理由は、リスナーとの距離感の近さ、自由なトークを展開できること、空間をつくるということの3つがあった。特に最後の3つ目に関しては、他のメディアはなかなか真似をすることが難しいだろう。SNSはそこに目を付け、その要素を取り入れた。そのため、SNSもこれらライブ配信の仕組みが無くならない限り人気は持続すると考えられる。このように、メディアは発信するだけでなく、1つの空間を提供できれば、ラジオのように生き残れることが判明した。もし、新たなメディアを作成するのであれば、こうしたところに注目してみると良いのではないだろうか。